『終活読本 ソナエ 2021年秋号』を読んで

こんにちは!

皆さんは終活してますか!?

私はいきなり『終活読本 ソナエ 2021年秋号』が送られてきました!

よくわかりませんね!

 

感想

総評

人なら誰しも一度は考えるであろう人生の終焉に関するムック。人が死ぬ確率は結婚する確率よりもはるかに高いのでゼクシィなどよりもよっぽ万人受けするに違いないが、この手の雑誌類は残念ながら希少である。本屋の店頭に平積みされているところを一度も見たことがないのはよく考えるとおかしいのではないだろうか。

葬式・お墓トレンドがコロコロ変わるとも思えないので年4回発行は無理してるのでは?という先入観に反し、著名人のインタビュー、最近のお墓関連事情、連載記事などで誌面が埋められており記事広告以外の広告類は少ない。

気になる読者想定層だが、どうも50~80代付近のようだ。生前整理特集記事は50代以降について場合分けがあるし、読者からの投稿も50代が大半を占める(20~30代女性も複数みられるのでその層も熱心な読者がいる様子)。

全体として、質の高い終活関連本ではないかと思われる。毎号買おうとは思わないが、興味のある特集があったら読むとよさそうだ。

表紙~巻頭インタビュー

舞の海秀平さんが表紙を飾っている。舞の海さんは世田谷自然食品NHK大相撲解説のイメージなのでやはりそのあたりの年齢層に訴求したいのかもしれない。産経っぽさがにじむインタビュー内容で味わいがある。相撲への敬意の高さはうかがわれるがその割にはインタビュー内土俵での写真の様相がカジュアルですね、といったところか。

「終活の最前線」

個人的には一番面白かった。どの記事もタイトル通りの内容だが、前後の経緯や深堀りをする価値がありそうなのはこのあたり。デイサービスでの気さくな会話のためにネタを仕入れるときはここを読むべし。

特集「定年後の生前整理」

今号の特集その1でかなりの充実。インタビュー2本に年代別のTo Do、遺品整理に関する読者投稿&レスポンスがあり、それぞれに内容があった。詳しくはぜひ読んで確かめてほしい。惜しむらくは、40代以下はどのような生前整理をすればいいのかわからない点である。次号以降「定年前の生前整理」特集を期待したい。

多くの人がぼんやりとしか考えていないであろう生前整理の考え方や具体的な方法、気を付けることがバランスよく配置されている。注意すべき点としては、すべてジャパニーズトラディショナル家族像が前提されていることが挙げられる。例えば一人暮らしで子孫などいないタイプの人にはできないことがかなり書いてあるので、このブログを読むような人はあまり参考にできない。

特集「上手なストレス発散法 高齢者につらいコロナ生活」

勿論若者もつらいのでストレスを発散しよう。この記事だけいきなり高齢者がターゲットと名指しされるので迫力がある。内容は普通にストレスを解消する方法であるが、禅宗日蓮宗の僧侶がそれぞれ寄稿している点が特色といえるかもしれない。御多分に漏れず全部やってたら日が暮れそうな内容ばかりである(高齢者で暇な方の場合、すべてをこなして完全メンタルを維持している可能性もあるな……)。

「「障害ある子」を持つ親の終活」

いい記事。関係ある方もない方も機会があれば読むべし。障害ある子(原文ママ)をもつ親の相談に応じる相談窓口の紹介記事で、全国にその活動が広がりつつあるとのこと。

イスラム教の葬儀と死生観」

イスラム史の講義の第1回くらいで教わりそうなイスラム教の概説と、西アジア都市史を墓地の観点から研究する先生の講義で言ってそうなイスラム教の葬儀の話。つまりそれぐらいに充実して内容がある。土葬用の墓地の問題は大手新聞でも取り上げられたことがある話題ではあるが、少し詳しい話が記されているので知ってるよと思ってる人も読むことをお勧めしたい。

「『あの世』『この世』通信」

読者からのお便りコーナーのタイトルである。読者と編集部、どっちがあの世なのか謎。内容自体は特筆すべきものはない。皆さんそれぞれ考えること、経験があるのですねという気持ちになる。

その他広告の感想

広告記事を除くいわゆる普通の広告は墓地、石材業界団体、葬祭業界団体、遺骨ペンダント、線香で、かなり偏りがある。終活のメインはやはり墓や葬式なのだろうか……個人的には、それこそ生前整理・遺品整理の業者やサプリ・健康食品業者、高齢者施設の宣伝があってもいい気がする。とりわけ面白い広告はなく、フツー。こういうところがアピール上手になると結婚式業界のようにイケイケな感じで終活を推していけるのではないかと睨んでいる。誰か葬祭・墓関連の広告に革命を起こしてほしい。

書誌情報

産経新聞出版『NIKKO MOOK 終活読本 ソナエ vol.34 2021年秋号』2021年10月13日(仏滅)発行

奥付に「仏滅」とわざわざ書いてあった。終活であって仏事ではないのだから六曜は関係なさそうだが……結婚情報誌は「大安」とわざわざ書いたりするのだろうか。

経緯

2021年11月8日にTwitter上でゼクシィが送り付けられた人の話題に関連してツイート。

これに対して、実際に存在するとの指摘をいただいた。

www.fujisan.co.jp

翌9日、Amazonから「ギフト」が配送されてきた。当然心当たりがないので訝しみつつ開封すると、ギフト包装の中からこのムックだった、というわけ。

蓼科らんさん、ありがとうございます!!